たっきーの薬のはなし、キホンのキ

第6回 血中で脂質はどんな形で存在しているの??

ここまでしつこいくらい、脂質(トリグリセリド、コレステロール)について説明してきました。
本当に大事なんです。

この脂質たち、作られる場所で使われることもあるかもしれませんが、多くがほかの組織・臓器へ移動して使われます。どのようにして移動するかというと、血液を通って、です。

しかし、問題があります。脂質そのままでは水がベースの溶液である血液には溶けにくいのです!
脂質は脂溶性が高いので、血液に溶けにくいんです・・・。
さぁ、どうしましょうか。ここで登場してくるのが、血漿リポタンパク質複合体というものです。

脂質だけですと、血液の中に溶け込みにくいので、いくつかのタンパク質やリン脂質(細胞膜を作っていて膜成分の主なものです)が、囲いをつくってあげているんです。いわば、脂質をいれるための箱。このタンパク質とリン脂質でできた箱の中に、脂質がはいっている状態のことを血漿リポタンパク質複合体と呼んでいるのです。

血漿リポタンパク質複合体には、箱の種類や中に入れている脂質の量によっていくつかの分類わけがされています。

  1. カイロミクロン
  2. 超低密度リポタンパク質(VLDL)
  3. 低密度リポタンパク質(LDL)
  4. 高密度リポタンパク質(HDL)

この4つが主なものです。ざっくりとした言い方をすると、上のものほどトリグリセリドが多くコレステロールが少ないです。逆に言うと、下のものほどトリグリセリドが少なくコレステロールが多いです(HDLとLDLはコレステロールの量について逆ですが・・・。つまり、コレステロール量ではLDL>HDL)。
また、上のものほど密度が小さく、下のものほど密度が高いことから、このような名前が付けられています。それぞれの体内でのでき方、動き方などはここでは説明しませんので、興味があれば自分で調べてみましょう!それぞれが重要な役割をもっています。

脂質組成(%)
  密度 大きさ トリグリセリド コレステロール
カイロミクロン 87 5
VLDL 60 21
LDL 13 61
HDL 14 43

※コレステロールエステルを含む

次回はこの中でも特に病気に直結する、低密度リポタンパク質(LDL)と高密度リポタンパク質(HDL)について簡単にお伝えしたいと思います。

関連する国家試験を解いてみましょう

(第96回202問改変)

  • コレステロールや中性脂肪は、水に溶けにくいため、アポタンパク質と結合したリポタンパク質の形で運搬される。

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    解答:○

  • リポタンパク質は、超低比重リポタンパク質(VLDL)、低比重リポタンパク質(LDL)、中間比重リポタンパク質(IDL)及び高比重リポタンパク質(HDL)の4種に分類される。

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    解答:✕、カイロミクロンもリポタンパク質に分類される。

  • 肝臓や小腸で合成されたHDLは、血中で末梢組織からの遊離コレステロールを取り込む。

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    解答:○

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