たっきーの薬のはなし、キホンのキ

第12回 スタチンの副作用:薬には副作用がつきものです。

前回、前々回とスタチンの話が続いています。今回はスタチンの副作用についてです。

スタチンは通常、肝臓でHMG-CoA還元酵素を阻害することによって薬効を発揮しています。ですので、ほかの組織でHMG-CoA還元酵素を阻害すると、副作用につながっていきます。

もっとも有名な副作用は横紋筋融解症です。簡単に言うと、横紋筋という種類の筋肉が溶けてしまうという病気です。
スタチンが横紋筋融解症を引き起こす理由は、まだはっきりわかっていませんが、ごくまれにおこることがあります。横紋筋融解症とまでいかなくても、スタチン開始後にこむら返りがおこるようになった場合は要注意です。

このような副作用は、肝臓以外の筋肉組織にスタチンが到達することによって引き起こされると考えられます。
なので、いろいろな組織に移行しやすいスタチン(脂溶性が高いスタチン)で起こりやすく、逆に、いろいろな組織に移行しにくいスタチン(水溶性スタチン)では起こりにくいと言えます。

水溶性スタチンは筋肉組織にいきにくいので横紋筋融解症が起こりにくいと考えられますが、肝臓へも到達しにくいのでしょうか。その答えはNoです!スタチンは全般に、輸送体により肝臓に集積する性質をもっているんですね。なかなか難しいですね。

まとめますよー。
スタチンはおおむね、輸送体を使って肝臓へ集積します。なので、水溶性・脂溶性に関係なく肝臓に集まって、薬効を発揮できます。脂溶性のスタチンは、肝臓以外にも集積しやすいのでほかの組織でHMG-CoA還元酵素を阻害してしまい、横紋筋融解症などの副作用をおこしやすいとされています。
一方、水溶性スタチンは、肝臓へ集積しますが、ほかの組織へはあまり移行しないので、横紋筋融解症などの副作用がおこりにくいとされています。
ちょっと難しいですね。ここらへんも国家試験レベルでは問われにくいところです。応用編として、心に留めておいてもらえるとうれしいです!

関連する国家試験を解いてみましょう

  • プラバスタチンナトリウムの服用患者に対して、筋肉痛や脱力感が現れたら直ちに受診するように伝えた。(93回227問)

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    解答:○

  • ロスバスタチンカルシウム錠の服用患者に対して、横紋筋融解症のリスクがあるため、筋肉痛や脱力感などの副作用症状に気をつけるよう伝えた。(97回216問改変)

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    解答:○

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