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たっきーの薬のはなし、キホンのキ
第10回 日本で使われているスタチン:それぞれみんな違うんです。①
スタチンは①HMG-CoA還元酵素を阻害して、②肝臓中のコレステロールを低下させ、③肝臓のLDL受容体の数を増やし、④血中LDLを肝臓へたくさん取り込ませて、⑤血中LDLを低下させているというのが先週の重要ポイントでした。
このスタチン、日本においては現在6種類使われています。
すべて、HMG-CoA還元酵素を競合的(=拮抗的)に阻害することによって、血中LDLを低下させます。
その薬たちを販売開始の順番に紹介しますね。
- プラバスタチン(商品名:メバロチン、1989年発売)
- シンバスタチン(商品名:リポバス、1991年発売)
- フルバスタチン(商品名:ローコール、1998年発売)
- アトルバスタチン(商品名:リピトール、2000年発売)
- ピタバスタチン(商品名:リバロ、2003年発売)
- ロスバスタチン(商品名:クレストール、2005年発売)
すべてのスタチン系薬剤は「○○スタチン」という名前なので、わかりやすいですね。
こんなに多くのスタチンは実はそれぞれ性質がちょっとづつ違います。
薬理作用は同じですが、主に①薬効の強さと②薬物動態が違います。
国家試験ではこの違いまで問われることはほとんどないとは思いますが、今後のためにちらっと心に留めておきましょう!
①薬効の強さ
開発の古い最初の3剤(プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン)は、LDLの低下作用が比較的マイルド(マイルドといってもスタチン以外の薬に比べると非常に良く効きます!)なので、「スタンダードスタチン」とよぶことがあります。通常用量を患者へ投与した時のLDL低下作用がおおむね15-20%程度です。
一方、比較的新しい3剤(アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン)は、LDLの低下作用が強力なので、「ストロングスタチン」とよびます。通常用量によって、LDLを30-50%程度低下させます。すさまじい薬効の強さですね!
1.スタンダードスタチン…20%程度、LDLコレステロールを低下
プラバスタチン(メバロチン®)
シンバスタチン(リポバス®)
フルバスタチン(ローコール®)
2.ストロングスタチン…30~50%程度、LDLコレステロールを低下
アトルバスタチン(リビトール®)
ビタバスタチン(リバロ®)
ロスバスタチン(フレストール®)
次回は、②薬物動態の違いについてお伝えします。