たっきーの薬のはなし、キホンのキ

第5回 血液中に存在する脂質は、どこから来るのか?復習がてらもう一度。

第2回から第4回まで、血中に存在する脂質についてお話してきました。ここはとても重要です。

生化学で糖代謝を習いますが、その臨床的な重要性についてはあまり強調されてこなかったのではないでしょうか?国家試験でも糖代謝そのものズバリ!としてはあまり出題されなくなってきています。だからといって糖代謝が重要でないとは言えません!糖代謝は、グルコースからエネルギーを作る経路ですが、その途中の物質からは生体を構成する脂質ができてくるんでしたね。
そのほかにもアミノ酸やDNAの部品などの生体内を構成する物質ができてきます。そういう視点で、もういちど糖代謝を復習してみてくださいね。

<トリグリセリド>
トリグリセリドは、3つの脂肪酸部分と1つのグリセリン部分がエステル結合により合体した物質でした。合成経路も、分解経路も、この3つの脂肪酸・1つのグリセリンという計4つのブロックで考えていくとわかりやすいと思います!

脂肪酸部分も、グリセリン部分も、糖代謝の途中の物質を原料として作ることができます。
脂肪酸はNADPHという補酵素を使いながら、アセチルCoAから作られます。また、グリセリン部分は、解糖系の途中の物質から作られます。そして、それぞれがエステル結合で合体して、トリグリセリドになるんでしたね。

分解するときも、同様に4つのブロックで考えます。グリセリン部分は解糖系へ戻って、エネルギーをつくることもできます。また、脂肪酸はbeta酸化という代謝経路によって、たくさんのATPつまり、生体エネルギーをつくることができるんですね。脂肪酸は、たくさんエネルギーを作ることができる!このイメージを大切に。

ということは、たくさんエネルギーを作ることができる脂肪酸を3つももっているトリグリセリドって、すごいエネルギーを秘めているとも言えます。このトリグリセリド、生体内のどこらへんに多くあるのか?というと、脂肪細胞が挙げられてきます。脂肪細胞にはたくさんのトリグリセリドが貯蔵されているのです。

<コレステロール>
コレステロールは、たくさんの炭素ががっちりと結合している隙のない化合物でしたね。
肝臓を中心とした、多くの組織で作られます。これもやはり脂肪酸と同様に、NADPHを補酵素として使いながら、アセチルCoAから作られるんです。トリグリセリドと違うのは、脂肪細胞のような貯蔵場所がないということです!過剰になったらどうなるのでしょうか。実は、血液中にたくさんコレステロールがたまってしまうんですね。血液検査をすると、コレステロールの値が高くなるということは、体の中のコレステロールの量が多すぎる!ということでもあるわけです。

コレステロールは分解についても、トリグリセリドとは異なります。というより、生体内ではコレステロールは分解されません。胆汁酸に変換されて、肝臓から十二指腸へ排出されるんです。しかし、排出された胆汁酸(もとはコレステロール)の多くは、小腸から再吸収されて、また肝臓へ戻ってきます(腸肝循環)。とはいっても一部は糞便中から排出されていくのです。ポイントは、肝臓からの排出というところです!

脂質代謝は、生化学的にも病態学的にもとても大事なことなので、再度確認しました。不安があれば、何度でも復習して、必ず自分のものにしましょう!試験前に焦りながら勉強するのか、いましっかり勉強するのか。どちらにせよ覚えておかなければいけないところです。いま、理解しておきましょう!

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